2019 年 48 巻 p. 25-33
【目的】進行性円錐角膜に対する角膜クロスリンキング(以下:CXL)の結果の検討
【対象及び方法】岐阜赤十字病院にてCXLを施行して術後3ヶ月以上経過した進行性円錐角膜患者14名14眼(男性11名、女性3名、平均年齢20.2±4.2歳、平均角膜屈折力48.50±4.4D)を対象とした。
検討項目は裸眼・矯正視力、自覚等価球面度数、前眼部OCT(CASIA®、TOMEY社)を用いた角膜屈折力、角膜後面屈折力、角膜乱視量、角膜厚、フーリエ解析による非対称成分、高次不正乱視成分を検討した。角膜内皮細胞数は術前、術後1年で比較した。統計解析はFriedman検定を用い有意水準を5%未満とした。
【結果】術後1年で、裸眼視力(p=0.0068)及び矯正視力(p=0.0023)は有意に改善した。角膜屈折力(p<0.001)は有意に低下し、角膜後面屈折力(p<0.001)は有意に減少した。角膜厚(p<0.001)及び非対称成分(p<0.001)は有意に低下した。角膜厚は頂点ほど菲薄化を認めた。角膜後面のスティープ化は角膜の周辺より頂点の方が菲薄化したことが原因と考えられた。
術後6ヶ月以降で、平均角膜屈折力及び角膜乱視量が1D以上増加した症例は無く、また、2段階以上矯正視力が低下した症例も無かった。
【結論】術後1年においてCXLは角膜屈折力の低下を伴い、有効かつ安全な円錐角膜の進行予防治療であることが示唆された。