日本視能訓練士協会誌
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一般講演
若年成人での遠視性不同視シミュレーションが読み能力に及ぼす影響
岡野 真弓菅沼 いづみ野内 早苗野中 千遥角田 隆平内川 義和新井田 孝裕
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2021 年 50 巻 p. 47-52

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抄録

【目的】若年成人での遠視性不同視シミュレーションが読み能力に及ぼす影響について検討した。また、遠視性不同視シミュレーションによる自覚症状と読み能力との関連について検討した。

【対象及び方法】対象は眼科的疾患を有さない健常若年成人15名(平均年齢20.7±0.9歳)である。2.00 Dの遠視性不同視シミュレーション(遠視性不同視条件)、遠方完全矯正(コントロール条件)の2条件下で、読み能力の測定、自覚症状の調査を行った。読み能力では、文章課題を用いて、読み速度、読みの正確性、内容理解度を評価した。眼精疲労に関する自覚症状はvisual analogue scale(VAS)で測定した。

【結果】コントロール条件と遠視性不同視条件との間で、読み速度、読みの正確性、内容理解度に有意な差を認めなかった。自覚症状スコアは遠視性不同視条件で有意に増加した。自覚症状のうち「目が疲れる」のスコアと読み速度との間に負の相関(r=-0.63, p=0.01)、「ものがちらついて見える」のスコアと読み誤り数との間に正の相関(r=0.54, p=0.04)を認めた。

【結論】若年成人において、遠視性不同視シミュレーションによる読み能力への影響は確認されなかった。しかし、遠視性不同視シミュレーションによる眼精疲労症状と読み能力との間に関連があることが示唆された。

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