【目的】
長久手市における3歳8か月児眼科健診の要精密検査児に対し追跡調査を行った。精密検査結果を取得し、健診の問題点を検討した。
【対象と方法】
対象は平成29年4月~令和2年3月間に長久手市の健診で要精密検査と判定され、研究に協力の得られた医療機関を受診した51名。健診ではすべての3歳8か月児に対し、視能訓練士が視力、屈折(レチノマックス®)、眼位(遮閉試験)検査を行った。医療機関からの報告書より受診状況と精密検査結果を取得し、健診での検査の陽性的中率を算出した。
【結果】
医療機関での受診結果は要治療が18名(35%)、異常なし18名(35%)、中断15名(29%)で、陽性的中率は50.0%であった。要治療の内訳は弱視14名、斜視2名、弱視と斜視の合併が2名であった。健診にて要精密検査となった検査毎の人数,陽性的中率は、視力検査39名, 48.1%、屈折検査19名, 80.0%であった。その内視力と屈折の両方で要精密検査となったのは17名, 84.6%、視力検査のみ22名, 14.3%、屈折検査のみ2名, 50.0%であった。眼位検査5名, 80.0%、検査不可は7名であった。
【考察】
視力検査のみで要精密検査となった児は偽陽性が多く、健診時の視力検査の精度向上が必要と考えられる。また診断がつく前に医療機関への通院を中断する児が30%程度いることが示され、受診を促す必要があると思われる。
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