日本視能訓練士協会誌
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後天性眼球運動障害の視能訓練
4.融像域と日常生活上の不自由度による視能訓練評価
岡 真由美深井 小久子新井 紀子木村 久
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1998 年 26 巻 p. 243-248

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抄録

社会復帰に重点をおいた視能訓練評価をするために,融像域から求めた融像能率と日常生活上の不自由度の関係について検討した。
症例は後天性眼球運動障害例12例であった。訓練効果は,融像能率と日常生活上の不自由度を点数化することによって数量的に評価した。治癒度I(excellent)群の融像能率は平均96.8%,不自由度は平均0.5点と良好であった。治癒度II(good)群の融像能率は平均82.4%に改善したが,不自由度は2例で著しく高く100点,44点であった。治癒度III(fair)群の融像能率は平均21.7%であったが,不自由度は平均12点と低かった。不自由度の高い2例のエゴグラムは,自由度が低値,順応性が高値であった。また社会復帰は治癒度が高いほど高率であった。業務内容が変更となった2例の治癒度は,IIとIIIであった。
融像能率と日常生活上の不自由度との関連性は低く,社会復帰のための訓練評価には日常生活上の不自由度を加え、患者の性格などを考慮した指導が必要である。

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