日本視能訓練士協会誌
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シンポジウム「弱視治療の実際と問題点」 不同視弱視の治療の実際と問題点
高木 満里子
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1998 年 26 巻 p. 81-89

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抄録
不同視弱視患者の検査および治療方法の実際と問題点を述べる。視力は通常片眼視力で代表される。しかし,弱視は両眼相互作用の結果健眼からの抑制である。そこで,ビノキュラーセパRを用いた視力測定方法(両眼視時視力)で弱視眼に対する抑制を視力値として測定し,また弱視眼にかかる抑制の深さを簡便に検出できる方法としてSG testと遮蔽膜バー併用試験を考案した。これらの方法を用い,弱視治療に有効であった症例について報告した。両眼視時視力検査を8名に施行した。7名において片眼視力より低下していた。両眼視時視力が0.6以上であった5名中4名は50″より良好な立体視が得られた。遮蔽法は,両眼視を壊さず弱視治療を行うために,完全遮蔽後に漸増遮蔽膜を17名に用いた。そのうち13名(76%)は学童期の子供であった。
不同視弱視の感受性期間であると言われている12歳までは,積極的に治療を行い,視力低下のリバウンドに注意する必要がある。また,学童期の治療においては,心理面にも充分留意しなければならない。
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