2003 年 32 巻 p. 103-108
等価球面換算2.0D以上の不同視、乱視度1.0D以下、顕性斜視のない10歳未満の遠視性不同視弱視115例の治療成績を検討した。治療開始年齢は3歳~9歳11ヵ月(平均6.4歳)、弱視眼屈折度は+2.0D~+11.0D(平均+6.2D)、不同視は2.0D~9.0D(平均4.0D)であった。治療方針は完全屈折矯正眼鏡を装用させ、時間遮蔽、近業訓練を年齢、視力差に応じて行った。視力1.0以上が得られたのは108例(93.9%)で、改善に要した期間は2ヵ月~3年6ヵ月(平均1.1年)で、6ヵ月以内が33%、1年以内参59%、2年以内が86%であった。改善に要した期間と治療開始年齢との間に相関はなかったが、弱視眼屈折度(p<0.05)、不同視(p<0.01)との間には有意な正の相関、弱視眼視力との間に負の相関があった(p<0.01)。視力1.0が得られなかった7例は、治療開始年齢が6歳2ヵ月~9歳11ヵ月(平均7.9歳)と有意に遅かった(p<0.05)。遠視性不同視弱視の視力予後は良いが、弱視眼屈折度、不同視が大きいもの、弱視眼視力の低いものは、視力改善までに期間を要することが明らかになった。また、弱視眼屈折度では+7.0D、不同視では5.0D、弱視眼視力では0.3~0.4が治療開始から1年半までに視力1.0が得られる大まかな目安になるものと考えられた。