日本視能訓練士協会誌
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老人性縮瞳に対する効果的な薬物の基礎研究
内川 義和
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2003 年 32 巻 p. 97-101

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抄録

今回、平滑筋弛緩作用を有するアドレノメデュリン(adrenomedullin: AM)に着目し、ウシ摘出瞳孔括約筋に対するAMの影響を検討した。カルバコール(100nMおよび3μM)による瞳孔括約筋のコリン作動性収縮および静止張力(100mg)に対して、AMによる瞳孔括約筋の張力変化を等尺性に記録した。AM(100nM)は、カルバコールによるコリン作動性収縮には有意な影響を及ぼさなかったが、静止張力を減少させた。AMによる静止張力減少作用はAM受容体の遮断薬といわれるAM〔22-52〕(100nM)により有意に遮断された。これらの結果から、AMは副交感神経抑制時の瞳孔括約筋の弛緩をさらに強めることにより、交感神経興奮・副交感神経抑制時の散大筋の収縮を助け、効果的に散瞳を引き起こすと考えられた。

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