日本視能訓練士協会誌
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角膜不正乱視におけるフーリエ解析を利用した矯正効果の検討
田中 仁菜岡井 佳恵関本 紀子水野 真由美小澤 亜紀平 智穂高尾 泰子藤井 英美阿曽沼 早苗前田 直之不二門 尚
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2003 年 32 巻 p. 181-187

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抄録

不正乱視成分を含む角膜乱視に対して、クロスシリンダー法などの自覚的屈折検査では、円柱レンズ度数や軸の決定が難しい場合がある。そこで今回、トーメー社製角膜形状解析装置TMS-2Nによるフーリエ解析を用い、十分な矯正効果を得る可能性について検討した。対象は全層角膜移植後17例21眼。フーリエ解析によって得られた正乱視成分を円柱レンズの度数と軸とし、球面レンズ度数はレンズ交換法で決定し、その視力を測定した(以下フーリエ矯正)。この方法により得られた円柱レンズ度数および視力(logMAR換算視力)とを、通常の自覚的屈折検査(以下従来法)による値と比較した。またフーリエ矯正値より、クロスシリンダー法を用いて(以下フーリエ矯正+クロスシリンダー法)得られた円柱レンズ度数および視力とを、従来法による値と比較した。その結果、フーリエ矯正による視力は、従来法による視力と差はみられなかったが、フーリエ矯正による円柱レンズ度数は、従来法による円柱レンズ度数より有意に少なかった。またフーリエ矯正+クロスシリンダー法による視力は、従来法による視力と差はみられなかったが円柱レンズ度数はフーリエ矯正+クロスシリンダー法による値の方が有意に少なかった。角膜不正乱視がある場合、フーリエ解析を利用することは有用だと考えられた。

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