2003 年 32 巻 p. 189-197
目的:当院では「目の相談室」を設置し、ロービジョンケアに取り組んでいる。その取り組みの中で「目の相談室」に直接関わるスタッフだけでなく、院内のすべての職員がロービジョンケアに理解と関心を持つ必要があると考え、ロービジョン講習会(以下、講習会)を行った。
対象:平成13年9月から平成14年9月の期間に行った講習会に参加した、当院の様々な職種に携わる職員104名である。
方法:講習会は、(1)ロービジョン者の心理についての講義、(2)誘導法のデモンストレーション、(3)シミュレーションゴーグルを使用したロービジョンの疑似体験、を一回のプログラムとして行い、後日、記名式でアンケート調査を行った。
結果:ロービジョン者誘導能力の自己評価は「できる」「だいたいできる」が講習会の前後で54%向上した。また、講習会に参加したことは業務に「役立つ」の回答が85%、「少し役立つ」との回答も含め98%に至った。講習会参加後、「ロービジョン者に対する意識は変化したか」については90%以上が「変わった」「ある程度変わった」と回答した。
結論:ロービジョン講習会は、参加した職員のロービジョンケアへの理解を深めることができ、ロービジョン者に対する意識の向上を図ることがでるものであった。講習会継続と職員への事後調査は、意識変化を持続させるために重要であり、ロービジョンケアをより実践的で効果的なものとすることができると考えられる。