日本視能訓練士協会誌
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乳幼児用眼鏡枠「アンファンベビー」
箕田 春香林 孝雄中川 真紀
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2004 年 33 巻 p. 79-85

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抄録

目的:両眼水晶体摘出術後の乳幼児に対する屈折矯正には、ソフトコンタクトレンズ(以下SCL)の使用が一般的であるが、コストやケアに対する家族の負担は大きい。またSCLの長期装用による角膜への影響も少なくない。今回我々は、乳幼児専用に作成された眼鏡枠「アンファンベビー」((株)オグラ)を両眼無水晶体眼の乳幼児に使用し、早期の眼鏡装用が可能であるかを検討した。
対象および方法:対象は平成11年7月から平成14年6月までに、帝京大学病院眼科で両眼の水晶体摘出術を受けた6名で、両眼性先天白内障の0歳~1歳までの5名(男児3名、女児2名)と、マルファン症候群の5歳男児の1名である。方法は症例の家族と主治医などに使用感の聞き取り調査を行った。
結果:「アンファンベビー」装用開始年齢は、11か月から5歳8か月で、当初は装用に抵抗を示した症例があったものの、全例が良好に装用出来ている。ただし、SCLと併用している1例は、外見上の不満と、眼鏡装用時の遠近感の違和感を訴えていた。一方では、SCLの管理の問題、着脱の問題、コストの問題に対する家族の負担が解消した。長期間SCLを装用していた症例は、眼鏡との併用により角膜障害に対する危険が軽減された。
結論:両眼無水晶体眼の乳幼児に対し、「アンファンベビー」を使用した。その独自の特徴により、早期から適切に装用可能な眼鏡枠として有用であると思われた。

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