日本視能訓練士協会誌
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ハンフリー10-2プログラムが診断に有用であった同名性孤立暗点を生じた二例
遠藤 寛子池田 福美中馬 秀樹
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2005 年 34 巻 p. 185-189

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抄録

目的:後頭葉病変による同名性孤立暗点の診断に、ハンフリー10-2プログラムが臨床的に有用であった2症例を経験したので報告する。
症例1:52歳、男性。正面視で、視野の中心より少し右側の暗点を自覚した。ハンフリー視野にて異常が検出されないため、精査目的にて当院に紹介された。視力両眼1.2。瞳孔、対光反射に異常なし。眼位は正位。眼球運動に異常なし。前眼部、中間透光体、眼底に異常なし。ハンフリー30-2プログラムでは異常が検出されなかったが、ハンフリー10-2プログラムでは同名性孤立暗点を検出した。頭部CTにて後頭葉の脳梗塞を検出した。
症例2:60歳、男性。読書時に常に読む字の左側の字が消えることを自覚した。オクトパス視野にて異常が検出されないため、精査目的にて当院に紹介された。視力両眼1.2。瞳孔、対光反射に異常なし。眼位は正位。眼球運動に異常なし。前眼部、中間透光体、眼底に異常なし。ハンフリー30-2プログラムでは異常が検出されなかったが、ハンフリー10-2プログラムでは同名性孤立暗点を検出。頭部CTにて後頭葉の脳梗塞を検出。
結論:中心10°の視野は、網膜では視野全体の3%の範囲であるのに対し、後頭葉視皮質においては約50%と広く、比較的広い範囲の後頭葉病変でも視野では孤立小暗点として現れる。ハンフリー30-2プログラムでは検出点の間隔が、孤立小暗点より大きく、異常が検出されない場合がある。その際はより検出点の間隔が小さな、ハンフリー10-2プログラムが有用な検査方法であると考えた。

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