日本視能訓練士協会誌
Online ISSN : 1883-9215
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34 巻
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  • 石川 哲
    2005 年 34 巻 p. 1-9
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    最近話題のシックハウス症候群(SHS)、多種化学物質過敏症(MCS)に関してその要点を総説的に解説した。本症は微量化学物質の慢性接触により生じた生体の自律神経、中枢神経、免疫系、内分泌系を中心とする過敏反応である。感覚器としての眼はちかちかする、異物感がある、視力が低下する、かすむ、中心部が見にくい、つかれるなどの症状、訴えが頻度的にも最も多い症状である。これら疾患の診断に眼は最も役に立つ器官である。何故ならば定量的にその障害が極く軽度のレベルから測定出来るからである。
    現在特に患者が多いのは新築により生じた症例、またはリフォームによる症例が中心をなしている。我々現代人は過去100年前には体験出来なかった合成化学物質蓄積が既にあり、生体内の解毒システムがそれに動員されるので、本来ならば反応しない低いレベルの物質でも閾値が低く反応が起こり発症する可能性が強い。我々の周辺の環境劣化は健康問題一つとして21世紀には絶対に放置出来ない限界点まで来てしまっている。Sick House, MCS問題で悩んでいる患者もこの環境劣化現象の結果現れた可能性が強い.今後我々は真摯な態度で環境問題を考えそれに対処して行く必要がある点を強調したい。
  • 可児 一孝
    2005 年 34 巻 p. 11
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 魚里 博
    2005 年 34 巻 p. 13
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • これであなたもスーパーORT!
    三村 治
    2005 年 34 巻 p. 15-24
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 聡
    2005 年 34 巻 p. 25-27
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 森 敏郎
    2005 年 34 巻 p. 29-35
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    幻視には心理的要因で生じるものと網膜構造上の生理的要因で生じるものがある。後者ではマッハの帯現象が日本の水墨画など美術の歴史を通して応用されている。色素の混合は光を吸収し明度を低下させるが、この現象は古典主義の重厚な絵画の中に見出される。一方、光は混ぜ合わせることによって明度は上昇し、中間の波長となるが、この理論は印象派や点描派の絵画に取り入れられている。水晶体が混濁すると短波長光が妨げられ、コントラストが低下する。そのため、白内障患者が描く絵画は暖色系の色彩で不鮮明となる。黄斑円孔では中心窩の網膜が欠損しているにもかかわらず、患者の描く絵画は中心暗点ではなく針刺し様の歪みが描かれている。この現象は中心窩の網膜視細胞の周囲への偏位によって生じると考えられている。
  • 大瀧 亜季
    2005 年 34 巻 p. 37-44
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    外斜視の治療には、手術治療と非観血的治療がある。恒常性外斜視や斜視角の大きい間歇性外斜視は手術が第一選択とされる。非観血的治療は、適切な屈折矯正の上で、視能矯正訓練やプリズムの装用を行う。手術治療の適応にならない患者に対する視能矯正訓練は、両眼視機能を改善させ、眼位の自己コントロールを高め、両眼単一視を維持する力をつけることを目的として行われる。訓練の適応を見極めるための注意深い検査は欠かせず、それぞれの症例にあわせた治療方法が選択されなければならない。
    間歇性外斜視における眼位の自己コントロールの状態を評価することは、間歇性外斜視の治療の時期や効果を評価する目安になる。近年になって、具体的な評価法についての報告がみられ始めているが、判定基準の確立が望まれる。
    小児の外斜視は、家族を巻き込んだ心理的負担もあるので、個々の症例に注意深く対応し、より良い視機能管理が行われなければならない。
  • 安達 いづみ
    2005 年 34 巻 p. 45-52
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    小児白内障術後の弱視治療として屈折矯正と健眼遮閉の方法および経過観察の注意点について整理した上で、両眼性先天白内障症例19例、片眼性先天白内障症例13例について、屈折矯正と健眼遮閉の実施状況と術後視機能について検討した。
    屈折矯正については、十分な説明のもとに保護者の理解と協力を得られれば概ね良好に実施できた。眼鏡・コンタクトレンズを問わず、適切なものを適切な時期に選択し、定期的な屈折検査と度の調整を行うことによって良好な視機能の獲得を期待できると考えられた。
    健眼遮閉のコンプライアンスの良否が術後視力に大きく影響した。視力差が大きくなるほど、また年齢が高くなるほど遮閉実施が難しくなり、視力の停滞が更にコンプライアンスの低下を招き、片眼性症例での弱視治療の難しさにつながると考えられた。
    小児白内障の弱視治療は、保護者の理解と協力なくしては成功しないことは言うまでもないが、その心理的・経済的負担は非常に大きいと思われる。それを念頭におき、十分なコミュケーションをとりつつ長期にわたり視機能管理を行っていくことが重要である。
  • 山下 牧子
    2005 年 34 巻 p. 53-62
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    屈折異常弱視、不同視弱視の視力予後と訓練開始時期、訓練期間、訓練終了時期、訓練開始時の矯正視力、屈折度、視力比(左右眼の視力比)、屈折度差の関与について検討した。
    対象は、最高視力獲得後2年以上経過観察できた遠視性屈折異常弱視20名(男児12名、女児8名)、遠視性不同視弱視71名(男児37名、女児34名)である。屈折異常弱視は、訓練開始時年齢平均6.2±1.6歳(4~9歳)、訓練開始時視力平均0.37(幾何平均から換算)(0.1~0.7)、訓練開始時等価球面屈折度(強い遠視眼の屈折度)平均6.24±2.96D(+2.75~+15.00D)、訓練開始時屈折度差1.50D以内、訓練期間平均3.2±2.5年(5ヶ月から11年)であった。一方、不同視弱視は、訓練開始年齢平均7.8±2.1歳(4~13歳)、弱視眼の訓練開始時視力平均0.3(0.1~0.7)、訓練開始時屈折度平均+5.29±1.56D(+2.50~+10.00D)、訓練開始時不同視差平均3.76±1.48D(2.00~9.00D)、訓練期間平均1.3±1.2年(3ヶ月から4年6ヶ月)であった。これらの症例を治癒群(訓練後視力1.0以上獲得)、視力向上群(訓練後3段階以上の視力獲得)、視力不良群(訓練後2段階以下の視力の変化)、訓練中断群(訓練が中断したもの)に分けて検討した。
    1.屈折異常弱視の訓練効果
    屈折異常弱視は20例中16例(80%)が訓練後治癒した症例であった。治癒群と視力向上群の群間の比較から、訓練開始時視力に有意差がみられた(p<0.05)。また、治癒群は全例訓練開始時視力0.4以上であり、これらが屈折異常弱視の予後に関与するものと思われた。しかし、訓練開始時年齢、訓練期間とも他要因と関係は見られなかった。
    2.不同視弱視の訓練効果
    不同視弱視では、治癒群、視力向上群、視力不良群の3群の比較から、訓練開始時視力(p<0.01)、訓練開始時視力比(p<0.05)に有意の差がみられた。従って不同視弱視では、これらの因子が弱視訓練の視力予後に関与していると思われた。
    治癒群では、訓練開始年齢と訓練開始時の屈折度(p<0.01)と屈折度差(p<0.01)に有意の相関が見られ、これらの要因により予後が予測できると思われた。また、訓練期間は訓練開始時の視力、視力比、屈折度差と有意の相関がみられ(何れもp<0.01)、訓練開始時視力が良好なほど訓練期間が短い傾向であった。
    訓練中断群が6歳から見られ、8歳から増加する傾向にあり、生活環境の変化によると思われた。
    3.弱視訓練終了時期とその後の経過
    屈折異常弱視は、訓練終了してからは視力が低下する症例はみられなかった。不同視弱視は、訓練後1.0以上の視力を獲得したものでは視力低下したものはなかった。訓練終了後の視力が1.0未満の場合は、訓練終了後21例中4例(19.0%)に視力低下が見られたが、6ヶ月の再訓練で4例とも視力が訓練終了時の値にもどった。また、特に訓練をしなくても年齢とともに視力が向上するものもみられた。10年間経過観察した5例のうち2例は視力、立体視が良好にもかかわらず、両眼開放視力や調節力が訓練終了時より低い値を示した。そこで屈折矯正はもとより、視力、両眼視機能だけでなく、両眼開放視力や調節検査を含めた弱視の管理が大切と思われた。
  • 高崎 裕子, 田淵 昭雄, 瀧畑 能子, 岡 真由美, 難波 哲子, 米田 剛, 可児 一孝
    2005 年 34 巻 p. 63-68
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:より高い臨床能力を身につけた視能訓練士養成のためにOSCEの導入に向けた試みを行ったので紹介する。
    対象と方法:臨地実習を終了した4年生30名の臨床能力をOSCEで評価した。方法は、学生を8組のペア群と7組のペア群に分け、各群がそれぞれ9つの小部屋のようなステーションを順次回り、各々のステーションに与えられた課題を解いていく。課題は両群とも同じで、臨床モデルを参考に作られている。各ペアは第1から第8のステーションは5分、第9ステーションは10分で課題を解く。課題は、第1ステーションで医療面接を行い、第7ステーションで検査結果の説明と今後の方針を説明するものである。より臨床の実際に近づけるため、標準模擬患者2名と模擬患者4名を用いた。タイムキーパーは2名、評価はチェックリストを利用し視能訓練士8名で行った。
    結果:1.予定した90分でOSCEの試行を終えた。2.面接態度はほぼ良好であったが、鑑別診断能力と問題抽出能力が低かった。3.66.7%の学生が臨床を模した試験の形式を認めた。
    結論:OSCEは学生の評価だけでなく視能訓練士教員の教育にも有益な方法と判った。視能訓練士教育にOSCEを導入するためには、今後も多くのことを検討し改善していく必要がある。我々は今後もより有用なOSCEを発展させるための研究を続ける。
  • 濱村 美恵子, 平尾 真実, 江富 朋彦, 中村 桂子, 澤 ふみ子, 稲泉 令巳子, 清水 みはる, 筒井 亜由美, 菅澤 淳
    2005 年 34 巻 p. 69-74
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    〈目的〉三歳児眼科検診の目的である早期発見、早期治療の効果をみるために、就学時までに適切な治療が行われたかどうかを検討した。
    〈対象と方法〉対象は、平成9年4月から平成15年3月までの6年間に高槻市三歳児眼科検診の二次検診で要精検となり、三次検診で大阪医科大学病院を受診した149名である。
    〈結果と考案〉診断の結果は、要治療が114名(76.5%)、要経過観察が29名(19.5%)、異常なしが6名(4%)であった。その内訳は、屈折異常弱視49名、不同視弱視17名、斜視弱視6名、弱視のない屈折異常26名、外斜視49名、内斜視13名などであった。眼鏡装用、遮閉法、Moore-Johnson変法などにより治療を行った結果、屈折異常弱視、不同視弱視のほとんどが就学前に矯正視力(1.0)を獲得していた。しかし、斜視弱視に関しては視力の向上がみられない例もあり、さらなる早期発見・治療の必要も示唆された。斜視に関しては、外斜視の73%は手術を念頭に経過観察したが、実際の手術実施例は、経過観察可能者の31%であった。内斜視は、眼鏡装用にてその半数が眼位良好になり、調節性内斜視に関して、時期を逃さず治療することができた。その他、下斜筋過動や上斜筋麻痺は、全例就学前に手術を施行した。通院を中断した例が21%あった。
    〈結論〉三歳児眼科検診の成果は十分にあると考えられた。中断例をなくすためには、治療や経過観察の必要性を理解してもらうことの大切さを再確認した。
  • 宮本 細香, 小森 敦子, 島田 真澄, 肥田野 めぐみ, 小林 昭子, 原澤 佳代子, 遠藤 成美, 臼井 正彦
    2005 年 34 巻 p. 75-81
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    緑内障の診断補助に網膜神経線維層厚(NFLT)の測定は有用といわれている。今回GDxアクセスVCC(GDx)とOCT3000(OCT)を用いて視神経乳頭周囲のNFLTを測定し、視野との関係を検討した。
    Humphrey自動視野計・中心30-2・SITA-Standard (HFA)で上半または下半に視野異常を認めた緑内障46例59眼を対象として、全例にGDx、OCTを用いてNFLTを測定し、それぞれの結果をHFAの異常部位と検討した。
    HFAとGDxの一致率は、上半異常ではTSNITグラフで83.3%、Deviation Mapで80.6%であり、下半異常では、TSNITグラフで87.0%、Deviation Mapで87.0%であった。
    HFAとOCTの一致率は、上半異常は実測層厚曲線で97.2%、分割表示で94.4%であり、下半異常は実測層厚曲線で87.0%、分割表示で82.6%であった。
    GDxとOCTによるNFLTの測定は、局所的なNFLTの菲薄化をとらえることができ、臨床上有用と考えられた。
  • 関口 沙知子, 伊藤 美沙絵, 矢野 隆, 相澤 大輔, 鈴木 雅信, 庄司 信行, 魚里 博, 清水 公也
    2005 年 34 巻 p. 83-88
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:若年者の角膜と眼球全体の高次波面収差について検討した。
    対象と方法:屈折異常以外に眼科学的疾患を認めない4歳から20歳までの81名134眼を対象とした。収差測定にはHartmann-Shack波面センサーを内蔵するKR-9000PW™(TOPCON社製)を用いた。また解析にはZernike多項式を用いてコマ様収差、球面様収差、全高次収差について検討した。
    結果:角膜のコマ様収差は、年齢と負の相関(Spearmanの順位相関:r=-0.383,p<0.0001)を示し、球面様収差は正の相関(r=0.241,p=0.0087)、全高次収差は負の相関(r=-0.286,p=0.0019)を示した。眼球全体のコマ様収差、球面様収差、全高次収差は年齢と相関関係は認められなかった。
    結論:若年者において角膜高次波面収差は年齢とともに減少した。
  • 栄養液またはカルバコール洗浄液による洗浄効果の検討
    岡野 真弓, 内川 義和, 山本 隆一
    2005 年 34 巻 p. 89-94
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    本研究目的は、トロピカミド使用後、短時間に縮瞳作用を賦活させる処置法を開発することで、トロピカミドの散瞳効果の持続により引き起こされる患者の日常生活動作(activities of daily living: ADL)の低下を改善することにある。今回はその基礎研究として、ブタ摘出瞳孔括約筋を用いて、トロピカミドのムスカリン受容体遮断作用に対するKrebs液(以下、栄養液)またはムスカリン受容体刺激薬であるカルバコールの洗浄効果について検討した。トロピカミドによるムスカリン受容体遮断作用は、カルバコール洗浄液およびカルバコールの溶解に用いた栄養液のみを用いた洗浄により有意に回復した。その回復効果は高濃度カルバコール洗浄液を用いた洗浄よりも、低濃度または中濃度カルバコール洗浄液および栄養液のみを用いた洗浄の方が有意に強力であった。低濃度または中濃度カルバコール洗浄液を用いた洗浄による回復効果と栄養液のみを用いた洗浄による回復効果との間には有意な差がなかった。以上の結果から、トロピカミド点眼後、短時間に縮瞳作用を賦活させる処置法としては、栄養液のみを用いた洗浄で充分であることが示唆された。
  • 映像による有効性
    山田 敏夫, 松井 孝明
    2005 年 34 巻 p. 95-100
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    検影法は、屈折状態を他覚的に検査する方法として有用であるが、あまり汎用されていないのが実情である。理由として、従来の装置による検査は熟練を要し、観察する反射光の変化を正確に判断しにくいためと考えられる。また、現象の反射光を検者以外は確認できないため、データの共有が難しく、検査法の指導が困難なためである。そこで、レチノスコープによる検影法にテレビカメラを併用させて、映像により検査の容易さ、指導のしやすさを得ることを目的にTADAMAYを開発した。今回は、臨床画像を提示することで、屈折異常矯正や生体観察を含めた陰影が、大きな画面で観察でき従来の検影法より検査が容易となることを示した。また、データを供覧し、記録や保存ができるため、検者以外の者も検査に関与することが可能となり、さらに今後、指導教材を作製することで、視能訓練士養成学校や実習病院においても具体的な指導が可能となると考えている。
  • 市原 美重子, 天野 みゆき, 山口 直子, 橋村 星美, 春日井 めぐみ, 浅野 典子, 櫻井 寛子, 都築 欣一, 川瀬 芳克
    2005 年 34 巻 p. 101-105
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:新しい手持ちオートレフラクトメータであるWelch Allyn®社製シュアサイト™オートレフラクタ(以下シュアサイト)を用い、他のオートレフラクトメータと比較した。
    対象:平成16年4月から1ヶ月間に当センターを受診した小児のうち、シュアサイトを含む3種のオートレフラクトメータで検査が可能であった136名219眼である。シュアサイトの屈折値は信頼係数6以上を採用した。年齢は0歳から10歳、平均4.8歳である。
    方法:非調節麻痺下と調節麻痺薬投与下の状態に分けてシュアサイト、ライト製作所製ハンディレチノマックスK-plus2(以下レチノマックス)、キヤノン社製オートレフケラトメータRK-5(以下RK-5)の3機種により、屈折値から等価球面値を求めFriedman検定により比較した。調節麻痺薬はトロピカミド(ミドリンP®)または塩酸サイクロペントレート(サイプレジン®)を使用した。
    結果:非調節麻痺下ではシュアサイト、レチノマックスはRK-5に比べ有意に近視傾向に測定された(p<0.01)。調節麻痺薬投与下では、シュアサイトとRK-5との間に有意差はみられなかった。3歳未満児における検査可能率は88.2%であった。
    結論:シュアサイトは、3歳未満の乳幼児での検査可能率は高いが、非調節麻痺薬下の測定で調節の影響を受けやすい傾向を示した。
  • 佐藤 千秋, 須藤 史子, 島村 恵美子, 倉岡 佐知子
    2005 年 34 巻 p. 107-113
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    非接触型光学式眼軸長測定装置IOLMaster™(Carl Zeiss Meditec Co. ltd)における眼軸長測定結果は、信頼性係数Signal to noise ratio(以下SNR)で評価できる。今回、SNR別に術後成績を比較し、臨床的にどの程度の値から信頼性が十分といえるのかを超音波Aモード法併用の必要性とともに再検証した。対象は同一術者、同一術式にて白内障手術を施行、術前と術後3ヶ月にIOLMaster™にて眼軸長測定が可能であった88例135眼である。対象をSNR別に5群に分類し、術前視力、術前後の眼軸長の差、術後屈折誤差、術前の後嚢下白内障の程度・核硬化度について比較検討した。その結果、術前後の眼軸長の差は術前眼軸長が術後に比べ長く計測され、SNR2未満群ではSNR5以上の3群に比べ有意に差が大きかった。術後屈折誤差は、SNR2未満群で0.17Dの遠視化を、他の4群ではわずかな近視化を認めた。SNR2未満では他の群に比べて術前の眼軸長が実際より長く計測されやすく、予測より遠視化するため、超音波Aモード法の併用が必要と思われた。またSNR5以上の群では術前後の眼軸長の差に有意差を認めず、術後屈折誤差も-0.10D未満となったことから、SNR5以上であればIOLMaster™一台で眼内レンズ度数決定が可能であった。
  • 山口 華奈子, 堀部 円, 魚里 博, 清水 公也
    2005 年 34 巻 p. 115-119
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:調節前、調節後の眼軸長、前房深度の変化について、Zeiss社製非接触型光学式眼軸長測定装置IOLマスターを用いて検討した。
    対象および方法:対象は屈折異常以外に眼疾患を有さない健常者9名18眼。年齢23.8±2.5歳、屈折値-2.69±1.82D(平均値±標準偏差)である。眼前10cmの位置でメールをうつという近見作業を30分間行い、その後眼軸長、前房深度、他覚的屈折値、自覚的屈折値を作業直後から、5分後、10分後、以降10分おきに作業後60分まで経時的に測定した。
    結果:30分後の近見作業後に、眼軸長の延長は認められなかったが、前房深度は作業後20分まで有意な差が認められた(対応のあるt検定p<0.001)。また、近見作業前と比較して、他覚的屈折値、自覚的屈折値共に近視化が認められた。
    結論:成人での前房深度、他覚的・自覚的屈折値に、調節の影響があることが判明した。このことより、調節力が十分にある小児では、直前の近見作業の可能性がある場合、十分な休憩をとらせた後検査をする必要があると考えられる。
  • 高野 美代, 吉田 隆司, 大森 可芽里, 小笠原 孝祐, 小野寺 毅
    2005 年 34 巻 p. 121-126
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    LASIK (Laser in situ keratomileusis)術後に生じる近視の戻り(regression)に関与する因子を究明する目的で術前屈折度数、角膜厚の変化、角膜曲率半径の変化、角膜後面の前方偏位、残存角膜厚および角膜前面の前方偏位について検討した。対象は、平成13年7月から平成16年1月までに当院にてLASIKを施行した209例411眼のうち、術後6ヶ月以上経過観察が可能であった321眼である。その結果、近視の戻りとの相関が得られた因子は、術後角膜曲率半径の減少と残存角膜ベッド厚であり、残存角膜ベッド厚が薄いほど、角膜後面および前面の前方偏位量が大きい傾向にあった。また、角膜後面の前方偏位量と術前角膜厚との間には相関はなかった。残存角膜ベッド厚が薄い場合、角膜後面のみならず角膜前面の前方偏位をきたしやすく、結果的に角膜曲率半径が減少し、近視の戻りを生じる可能性が高くなると考えられた。従って、近視の戻りの防止には、症例が許す限り残存角膜ベッド厚を厚く保つようにすることが重要であると思われる。
  • 堂山 かさね, 小峰 祐子, 楡井 しのぶ, 石井 祐子, 南雲 幹, 神崎 雅子, 若倉 雅登, 井上 治郎
    2005 年 34 巻 p. 127-132
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:当院では、健眼遮閉訓練時に細かい作業(以下、細業)をしてもらうよう、患者とその家族に指導している。しかし、どのような作業をしたらよいのかという質問が多数あるため、よりわかりやすく示した細業例の見本、方法の解説などを載せたファイル(以下、細業ファイル)を作製し、使用している。今回は、このファイルの効果をアンケート調査で調べた。
    対象:平成16年4月から5月に当院小児眼科外来を受診した患者のうち、健眼遮閉を行っている177例(男児74例、女児103例)。平均年齢6.5±2.05歳(2.6~11.9歳)。弱視眼平均視力、遠見0.7±0.28(0.04~1.2)、近見0.6±0.23(0.07~1.0)である。
    方法:小児眼科外来受診時に待ち時間を利用し細業ファイルを閲覧し、アンケート用紙に記入、回収した。アンケートの方式は記名式で、選択回答方式と自由回答方式を併用した5項目であった。
    結果:細業ファイルは177例中2例を除き「参考になった」と回答した。人気が高かった細業は「新聞字拾い」「シール貼り」であった。理由は「子供が興味をもちそう」が最多であった。細業ファイルに対する感想は、「参考になった」「細業の重要性を再認識した」などがあった。
    結論:細業ファイルは、患児や家族が色々な種類の細業を知ることができ有効であることがわかった。
  • 牧野 伸二, 木野内 理恵子, 保沢 こずえ, 近藤 玲子, 川崎 知子, 坂庭 敦子, 杉山 華江, 平林 里恵, 山本 裕子
    2005 年 34 巻 p. 133-137
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    先天性Brown症候群2例の磁気共鳴画像(MRI)所見を検討した。症例1は6歳の男児。MRI軸位断では滑車から上斜筋の付着方向と前後方向とのなす角度は左眼の50°に対し、右眼は60°と広角度で左右差があり、冠状断で右眼滑車部は左眼と比べ辺縁が不整であった。症例2は10歳の男児。MRI軸位断では滑車から上斜筋の付着方向と前後方向とのなす角度は左眼の37°に対し、右眼は54°と広角度で左右差があり、冠状断で右眼滑車部は左眼に比べ辺縁が不整であった。画像所見で上斜筋の走行や滑車部の左右差に注目することは先天性Brown症候群の診断、後天性Brown症候群との鑑別の一助になる可能性がある。
  • 京滋ORT会の問題点から考える
    尾本 岳, 藤井 沙也子, 野山 規子, 京滋ORT会
    2005 年 34 巻 p. 139-143
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    京滋ORT会は約30年前より続く京都府と滋賀県の視能訓練士で構成される勉強会である。この会は知識の向上、地域の視能訓練士同士の親睦をはかる場として役立ってきた。しかし近年、養成校が増加し会員が増えるに伴い今までの運営形式では自由に討論しにくく傍観するだけの者が現れる、また入会者の広域化により開催場所から遠方の会員は出席率が低下するなど様々な問題点が生じてきた。これらの問題は討議形式の変更など適切な運営手法を選ぶことによって解決できることもある。
  • 東 礼子, 鈴木 武敏, 大場 貴之
    2005 年 34 巻 p. 145-149
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    眼鏡処方に必要な検査を一つにまとめた新しい板付きレンズを紹介する。板付きレンズの上方はコアラの頭状の遮蔽版になっており、その両耳には微少斜視を検査するための6プリズムDが挿入されている。首に相当する部分には複像検査用の赤板ガラスがあり、その下に0.25D刻みの球面レンズが並んでいる。さらに、交代遮蔽が可能なPDメーターと近距離視標、メジャーが付属している。この板付きレンズは、眼鏡、コンタクトレンズ、検眼レンズ上から行う検影法であるオーバースキアを念頭に置いて作られている。近距離視標は処方度数で近方が楽に見えるかを確認するためや、累進屈折力眼鏡を正しく使っているかの確認に使われる。PDメーターは透明板に目盛りが入っており、直像鏡の光を当ててできる角膜反射で読むために、瞳孔間距離を測定できる。オーバースキアは処方度数が正しいかどうかを確認するために、非常に有効な方法であり、すべての眼科医、視能訓練士がマスターしておくべき基本技術であり、その際にこの板付きは利便性に優れていることから、常備する価値のある用具である。
  • 高橋 寛子, 落合 万理, 唐津 裕子, 鎌田 あすか, 佐藤 久美, 北野 優子, 田中 育美, 中野 佳希, 落合 憲一, 猪木 多永子 ...
    2005 年 34 巻 p. 151-156
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    右眼のみ鈍的外傷を繰り返した9歳男児で、経過中に片眼性に水平半盲様視野を呈した症例を経験した。眼底所見は軽度の網膜振盪症と網膜出血のみであったが、視野検査では求心性視野狭窄、水平半盲様視野、らせん状視野、花環状視野などがみられた。頭部CT,蛍光眼底検査にて器質的疾患は認められなかった。初診から6ヵ月後に視野は正常に改善し、最終的に心因性視覚障害と診断した。本症例は心因性視覚障害として、水平半盲様視野を呈し、経過中に視力の低下がみられなかった稀な症例と考えられた。心因性視覚障害では多彩な視野変化を呈することを念頭におく必要がある。
  • 堀部 円, 向野 和雄, 松崎 廣栄, 半田 知也, 松林 修子, 難波 貴代, 田村 千春, 庄司 信行, 清水 公也
    2005 年 34 巻 p. 157-163
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    頭蓋内疾患患者が眼症状を訴えることは多く、また初期症状として眼症状を訴えることは稀ではない。今回2000年から2004年までに当院脳神経外科を受診した患者のうち初発症状で眼科を初診とし、視力とGoldmann視野検査を施行した90名に眼症状の調査をした。患者の多くが視力低下を自覚しており、次いで視野異常を自覚する者が多かった。この主訴を基に視力低下を訴えた者、視野異常を訴えたものの実際の視力、視野を検討したところ視力低下を自覚した者、視力低下+視野異常を自覚した者のそれぞれ10眼26%、10眼32%が1.0以上の矯正視力にも関わらず視力低下を自覚していた。Goldmann視野では視力低下を自覚した者の90%以上に中心5度領域を含む視野異常が検出された。視野異常を自覚した者の矯正視力は全例0.8以上で、中心5度から30度領域に視野異常が検出された。視野異常の領域によって自覚症状に違いが見られ、これは視野の役割分担が違う為ではないかと考えられた。Goldmann視野検査を施行する際は、自覚症状をよく聞き、中心30度以内の視野に特に注意して測定する必要があると思われた。
  • 嶋田 倫子, 保倉 透, 今泉 正仁
    2005 年 34 巻 p. 165-169
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    後天性両眼上斜筋麻痺の19歳の女性に片眼の下直筋鼻側水平移動術を施行し、良好な結果を得たので報告した。交通事故による頭部打撲後、回旋複視を自覚した。両眼性の上斜筋麻痺と診断し、経過観察中、複視は改善せず、右眼下直筋鼻側水平移動術を施行した。術後、外方回旋偏位は全方向において6°~9°改善し、上下偏位は0.5°~4.5°改善された。左下方視で著明であった複視は改善し、頭位異常も消失し、自覚的にも良好な結果が得られた。
    上斜筋麻痺における外方回旋偏位の矯正手術としては、上斜筋前部前転術が施行されるが、近年、垂直筋水平移動術も施行されている。今回、下直筋鼻側水平移動術を施行したが、手技も比較的簡便で、自覚的にも良好な結果が得られ、有用であると考えられた。また、さらに、改善を得るには、もう片眼の手術も考慮すべきと思われた。
  • 秋山 智恵, 大田 尚美, 徳島 忠弘
    2005 年 34 巻 p. 171-178
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    長野県立こども病院において、未熟児網膜症の光凝固治療後に発症した近視性不同視弱視8例を経験し、未熟児網膜症の光凝固治療が視力差に及ぼす影響とその視力予後について考察したので報告する。対象は、当院で未熟児網膜症に対して治療として両眼に光凝固のみが施行された66例中、近視性不同視弱視を発症した8例である。治療開始年齢(眼鏡装用開始年齢)は平均20.6ヶ月±12.9ヶ月、眼鏡装用開始時の弱視眼屈折度は平均-8.0D±2.88D、健眼屈折度は平均-2.86D±3.33D、不同視差は平均5.11D±1.51Dであった。弱視治療は調節麻痺下の屈折値を参考に、眼鏡の装用と健眼遮蔽を行なった。未熟児網膜症の光凝固治療が視力差に及ぼす影響として、光凝固治療時の活動期病変、瘢痕期の程度、治療回数、光凝固時の出力、総凝固数、凝固範囲、眼球が受けた総エネルギーを健眼と弱視眼で比較した結果、両者間に差はみられなかった。弱視眼最高視力は0.2~0.7で、内訳は0.3~0.4にとどまる症例が8例中6例と最も多かった。弱視眼視力は3歳位までは健眼視力の発達に遅れはするものの伸びているが、後半伸び悩む傾向がみられた。
  • 昆 美保, 大瀧 亜季, 佐藤 智美, 佐藤 実岐子, 藤田 聡, 田澤 豊
    2005 年 34 巻 p. 179-184
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    ロービジョン者へ適切な読書用の視覚補助具を選定する場合、対象物を大きく拡大しすぎると読書能率が下がることがあり得るので、症例の視力および視野に応じて最も判読しやすい文字サイズを計測する必要がある。今回、高度な求心性視野狭窄と低視力の女児に対して読書チャートMNREAD-Jによって読書能力を評価し、また所持している拡大鏡の倍率(16D)が適切か否かを検討した。
    症例は、10年前に摘出手術を施行された頭蓋咽頭腫に伴う両眼視神経萎縮の13歳の女児である。右眼視力は0.1(n.c.)左眼はnull、視野は約1.5度の求心性狭窄であった。視距離30cmでの臨界文字サイズは0.6log MAR、15cmでは0.7log MARであった。30cmと15cmでの最大読書速度は、それぞれ100.2文字/分と213.2文字/分であった。15cmでの読書速度は、30cmの時よりも速かった。この違いは、日常生活の中でスキャニングやトレーシングの能力を自然に体得したことによると推察された。16Dの拡大鏡の倍率は、通常用いるには強すぎるが、辞書やふりがななどの小さな文字を読み取るには必要であると判断された。
  • 遠藤 寛子, 池田 福美, 中馬 秀樹
    2005 年 34 巻 p. 185-189
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:後頭葉病変による同名性孤立暗点の診断に、ハンフリー10-2プログラムが臨床的に有用であった2症例を経験したので報告する。
    症例1:52歳、男性。正面視で、視野の中心より少し右側の暗点を自覚した。ハンフリー視野にて異常が検出されないため、精査目的にて当院に紹介された。視力両眼1.2。瞳孔、対光反射に異常なし。眼位は正位。眼球運動に異常なし。前眼部、中間透光体、眼底に異常なし。ハンフリー30-2プログラムでは異常が検出されなかったが、ハンフリー10-2プログラムでは同名性孤立暗点を検出した。頭部CTにて後頭葉の脳梗塞を検出した。
    症例2:60歳、男性。読書時に常に読む字の左側の字が消えることを自覚した。オクトパス視野にて異常が検出されないため、精査目的にて当院に紹介された。視力両眼1.2。瞳孔、対光反射に異常なし。眼位は正位。眼球運動に異常なし。前眼部、中間透光体、眼底に異常なし。ハンフリー30-2プログラムでは異常が検出されなかったが、ハンフリー10-2プログラムでは同名性孤立暗点を検出。頭部CTにて後頭葉の脳梗塞を検出。
    結論:中心10°の視野は、網膜では視野全体の3%の範囲であるのに対し、後頭葉視皮質においては約50%と広く、比較的広い範囲の後頭葉病変でも視野では孤立小暗点として現れる。ハンフリー30-2プログラムでは検出点の間隔が、孤立小暗点より大きく、異常が検出されない場合がある。その際はより検出点の間隔が小さな、ハンフリー10-2プログラムが有用な検査方法であると考えた。
  • 2005 年 34 巻 p. 192-224
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2009/10/29
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