日本視能訓練士協会誌
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両眼視力と単眼視力
魚里 博
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2006 年 35 巻 p. 61-66

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抄録

視力や屈折などの視機能の測定は、眼科検査の最初の必須項目であるが、その評価手順は簡単ではなく生理学的および心理学的な多くの要因の相互作用も要求される。瞳孔径はこのような屈折や視力などの視機能検査に関係する重要な因子であるが、その効果は複雑である。
我々は瞳孔径や収差が両眼視下や単眼視下の視機能検査に及ぼす影響を検討した。視力やコントラスト感度測定中における瞳孔径を経時的に連続測定した。収差測定はOPD-Scanにより行い、得られたゼルニケ係数をSchweigerling法により両眼視下あるいは単眼視下の瞳孔径に合わせた径で再計算した。両眼視下のコントラスト感度(logCS)は単眼視下のものより有意に高い感度を得た。両眼視下の視力は単眼視下より有意に良好であった。平均瞳孔径は両眼視下で単眼視下よりも有意に小さかった。瞳孔径が減少するに従い、光学収差は有意に増加した。このことは、単眼から両眼への瞳孔径の減少(縮瞳)は、眼球光学系の光学収差を減少させ、ひいては自覚的な視機能を改善するのに貢献していると考えられた。
単眼視から両眼視下あるいはその逆に伴う瞳孔径の変化は、日常臨床における各種視機能検査へ重要な影響を与えることを常に考慮すべきである。

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