日本視能訓練士協会誌
Online ISSN : 1883-9215
Print ISSN : 0387-5172
ISSN-L : 0387-5172
眼精疲労の診断・治療におけるトライイリスの有用性
井藤 麻由香中村 友昭吉田 陽子
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 36 巻 p. 73-80

詳細
抄録

【目的】眼精疲労を訴え受診した患者に対し、近見反応測定装置TriIRIS®C9000(以下トライイリス)が診断・治療とその効果判定に有用であった症例を経験したので報告する。
【症例と結果】症例1は44歳男性。遠用眼鏡装用下で長時間パーソナルコンピューター(以下PC)を使用していた。近見作業時の視力低下とともに疲労を訴え受診。近見時の毛様体筋の緊張を減らすためにやや低矯正のPC用眼鏡を処方した。これによりトライイリスの波形とともに、症状も改善された。症例2は36歳女性。内斜視があり片眼視が眼精疲労の原因と考えられた。プリズム眼鏡処方により症状が改善されトラ・イイリスの波形からも両眼追視が可能になったことが確認できた。症例3は37歳男性。通常はソフトコンタクトレンズ(以下SCL)を装用。数年来の近見障害とともに様々な症状を訴え受診。SCLの種類と度数変更を行い、自覚とトライイリスの波形によりtry and errorの末、やや低矯正SCLを処方した。これにより眼精疲労の症状が改善された。
【結論】トライイリスは眼精疲労を他覚的に評価できるため状態の把握が容易になり、患者への説明においても理解を得やすいと考えられ、眼精疲労の診断・治療にとても有用な機器と思われる。

著者関連情報
© 日本視能訓練士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top