日本視能訓練士協会誌
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フレネル膜プリズムの視機能への影響について
鶴留 康弘阿曽沼 早苗小嶋 由香中前 美佳金山 素子藤木 かおり天野 大輔岡 知子大澤 結高田 雄介別所 建一郎不二門 尚
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2007 年 36 巻 p. 85-93

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抄録

[目的]フレネル膜プリズムの視機能への影響を比較検討する。
[対象及び方法]対象は、視力や視機能に問題のない正常者9名9眼。年齢21~29(24.8±3.12)歳、屈折度は+0.5~-5.0(-1.47±1.63)D。完全矯正レンズ下の片眼に(1)6Δ(2)8Δ(3)10Δ(4)12Δ(5)15Δ(6)20Δ(7)30Δの7種の膜プリズムを基底外方に貼付し、1、視力2、コントラスト感度(AULCSF)3、グレアテスト4、波面センサーによる眼球高次収差と、前方散乱係数(コントラスト法)を測定し、それぞれ膜プリズムの有無による比較を行った。また、5、自覚的装用感についてのアンケートも行った。
[結果]膜プリズム無しと比較して、1、2では8Δ以上の加入で有意な視力、AULCSFの低下(P<0.01)が、3のグレア下では12Δ以上の加入から有意な感度低下がみられた(P<~0.05)。また膜プリズム下でのグレアの有無による比較では、8Δ以上の加入でグレア有りの場合グレアなしと比べて有意に感度が低下していた(P=~0.05)。眼球収差では、総高次収差(C3+C4)は12Δと30Δで有意に増加し(P<0.05)、前方散乱係数は12Δ以上の加入で有意な増加があった(P<0.05)。5では、プリズム度が大きくなるにつれ自覚的装用感が悪化した。[結論]8Δ以上のフレネル膜プリズムを処方する際には視力、コントラスト感度、グレア、散乱などの視機能への影響を考慮する必要がある。

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