2025 年 18 巻 1 号 p. 39-47
職場における休業4日以上の死傷災害のうち,危険物,有害物等を起因物とする労働災害は年間800件程度発生している.このうち,事故の型が「有害物等との接触」である労働災害の分析結果は厚生労働省において公表されているが,それ以外の事故の型の労働災害の分析結果は公表されておらず,実態が不明であったため,調査,分析を行った.令和2(2020)年から令和4(2022)年において,これらは年間400件弱発生しており,その8割以上が火傷又は熱傷による災害であった.火傷及び熱傷災害の作業別発生状況をみると,調理関係の作業中が最も多く,次いでスプレー缶等のガス抜き時等に多く発生している.また,事業場規模別発生状況をみると,労働者数50人未満の小規模事業場が7割弱を占めている.災害発生事例を踏まえ,災害防止対策例を示した.