労働安全衛生研究
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早期公開論文
早期公開論文の4件中1~4を表示しています
  • 森岡 郁晴, 竹下 達也, 宮下 和久, 藤吉 朗, 田中 智博, 生田 善太郎, 平林 愛子
    原稿種別: 調査報告
    論文ID: JOSH-2024-0013-CHO
    発行日: 2025/08/25
    [早期公開] 公開日: 2025/08/25
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,和歌山県内の事業場における,労働安全衛生法令改正に伴う化学物質管理に係る取り組み状況を明らかにすることを目的とした.

    和歌山産業保健総合支援センターの事業場リストのうち781事業場を対象に,無記名の質問票を郵送により配布した.質問票は,事業場の概要,ラベル表示・Safety Data Sheet(SDS)交付・リスクアセスメント実施の対象物質の取り扱い,リスクアセスメント対象物健康診断の実施状況などとした.

    化学物質を取り扱っている155事業場を分析対象とした(有効回答率19.8%).小規模(労働者数が50人未満の83事業場)で,労働安全衛生法令等の改正を知っている事業場は36.1%であった.ラベル表示・SDSに基づいた衛生教育や内容物の明示,化学物質のリスクアセスメントを行っている事業場は小規模で有意に少なかった.また,小規模で定期的にリスクアセスメント対象物健康診断を実施している事業場は7割に満たず,事後措置を行っている事業場も約半数であった.さらに,労働者の雇い入れ時に安全衛生教育を行っている事業場,化学物質管理者・保護具着用管理責任者の選定を予定している事業場も小規模で有意に少なかった.

    小規模事業場において,化学物質に関する情報伝達システムの構築や,リスクアセスメント対象物健康診断の実施促進,安全衛生教育体制の整備などの支援が必要である.

  • 崔 光石, 長田 裕生
    原稿種別: 研究紹介
    論文ID: JOSH-2025-0004-KE
    発行日: 2025/08/22
    [早期公開] 公開日: 2025/08/22
    ジャーナル フリー 早期公開

    本報は,静電気に起因する事故を未然に防止する手段の一つとして,静電気放電の電荷量を定量的に評価するための測定装置を開発し,その測定原理および可燃性物質に対する着火危険性の評価方法について紹介するものである.本装置では,CR並列回路を採用することにより,測定時に生じる静電誘導の影響を低減している.さらに,コンデンサ両端の電圧を測定する回路の後段にはピークホールド回路を設けており,複数回連続して放電が発生した場合でも,より大きな放電が検出されると表示値が自動的に更新される仕組みとなっている.本装置を用いて,産業現場で主に発生する火花放電,ブラシ放電,沿面放電の各放電電荷量を測定し,その活用可能性についても併せて紹介した.

  • -再現可能な加工とアプリケーションの開発-
    西田 典充
    原稿種別: 調査報告
    論文ID: JOSH-2025-0001-CHO
    発行日: 2025/08/13
    [早期公開] 公開日: 2025/08/13
    ジャーナル フリー 早期公開

    厚生労働省は労働災害に関するデータを公開している.その中で,死亡災害に関する公開データはExcelファイル形式で年度毎に公開されているが,誤入力されたデータの置き換え,年度毎に違う値が含まれる列の加工などへの対応が,複数年度にまたがった集計などを行う場合に必要となり,その活用には課題が残る.本調査報告ではこれらのファイルを集計しても整合性が保たれた形となるように年度毎のデータを加工し,単一のファイルへと結合を行い,そのファイルを簡便に検索,集計,可視化することができるアプリケーションを作成して公開した(https://factory-health.shinyapps.io/sibou-saigai/).また,新しい年度のファイルの追加や,データの妥当性の検証が行えるように,データの加工工程をプログラミング言語で記述したスクリプトファイルを公開した(https://github.com/ironwest/sibou-saigai).本調査研究のスクリプトファイルやアプリケーションを利用することで,再現性を担保してデータの作成や加工が可能となること,特別なスキルを必要としないで死亡災害データの検索や集計が可能となることから,死亡災害に関する研究や調査,実務での情報収集に必要な労力が軽減されることが期待される.

  • 小林 健一, 大谷 勝己, 富岡 征大
    原稿種別: 総説
    論文ID: JOSH-2024-0008-SO
    発行日: 2025/07/18
    [早期公開] 公開日: 2025/07/18
    ジャーナル フリー 早期公開

    労働衛生学において産業化学物質ばく露による毒性影響の把握は重要である.災害調査などによる人体への毒性影響の把握に加えて,動物実験により取得したデータは,無毒性量の設定のみならず毒性機序の解明・理解に不可欠なものである.我々の身の回りには産業化学物質,医薬品,農薬,食品添加物,工業薬品等,様々な化学物質が存在するため,既存化学物質の再評価,新規化学物質の評価を含む多数の化学物質を対象とした有害性評価が必要となる.そこで,コスト,時間,労力,動物愛護への配慮,ヒトへの外挿性等を考慮した,高い再構築性と再現性,高感度,ハイスループットなどを備えた精度の高い動物モデルの開発が求められる.本稿では筆者らが主として毒性実験に使用しているげっ歯類(マウス及びラット)および線形動物(線虫)について,労働衛生研究における動物モデルとしての有効な活用法ならびに今後の展望について述べる.

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