獣医療における放射線利用は,日常的な検査であるレントゲン撮影をはじめ,今や欠かせないものとなっており,診療補助を担う動物看護師も放射線に関わることは避けられない.動物看護師を目指す学生が,卒業後,放射線に対して不要な不安を持たずに安全に業務にあたるためには,放射線に関する基礎知識を修得することが重要である.そこで,大学在学中の放射線に関する講義を通して,彼らの放射線に関する認識と基礎知識の程度がどのように変化するかを明らかにし,講義改善の資料とするため,受講の前後でアンケート調査を行った.
首都圏の大学に在学する3年次学生147名を対象とし,回収できたアンケート数は,受講前131件(出席者144名,アンケート回収率91.0%),受講後100件(出席者119名,アンケート回収率84.0%)であった.
その結果,受講後は放射線に対するイメージ「不安」が有意に低下し (Fisher’s exact test p<0.001),放射線に関わる不安項目の「飛行機に乗る」や「日常生活からの被ばく」の選択率も有意に低下した (Fisher’s exact test, 前者p=0.001, 後者 p<0.001).さらに,放射線の基礎知識に関する得点が有意に増加したことから (Mann–Whitney U= 2553.5 p<0.001),講義により正確な知識を得た結果,不要な不安が軽減したと思われる.一方,業務で放射線に関わることが「気になる」と「やや気になる」との回答は合わせて約7割であり,放射線に対する「危険」というイメージも受講前後で変わらず高かったことから,知識を修得したものの放射線に対して否定的な感情を併せ持つ学生が多いことも明らかになった.
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