労働安全衛生研究
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原著論文
メンタルヘルス不調者の休業・退職・再発・復職と企業の健康管理対策との関連:横断的分析
土屋 政雄秋山 剛
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2010 年 3 巻 2 号 p. 111-118

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抄録

目的 職場において精神疾患による休業の増加が問題となっている。それぞれの企業でメンタルヘルスへの対策が整備されつつあるが、こうした対策が従業員の休業、退職、再発、復職などの就労予後とどのように関連しているかについては明らかになっていない。本研究では、企業の健康管理対策の整備状況と就労予後指標の関連について検討した。
方法 全国から無作為に抽出された10,000社の企業を対象に質問票を郵送し、1,361社から回答があった(回答率13.6%)。このうち、私傷病に関する病気等休暇・休業制度があり、欠損のない171社を解析の対象とした。正社員数、各企業の健康管理対策の実施、就労予後(休業、退職、再発、復職)の人数についてたずね、ロジスティック回帰分析を行ないこれらの関連を検討した。
結果 すべての就労予後指標において、それぞれ6-12個の企業対策実施との有意な正の関連が見られ、企業規模を調整したあとも3-5個の企業施策が有意な関連として残った。
考察 メンタルヘルスへの健康管理対策を行なっている企業は、休業、退職、再発の割合も多かったが、対策の実施が事例の発生を高めているとは考えにくい。これらの対策の影響は、該当事例の発生を適正に把握できている段階にとどまっているとの解釈が妥当である。復職の割合が多く見られた対策の実施とも合わせて、本研究により今後企業が行なうべき健康管理対策について示唆が得られた。

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© 2010 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
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