労働安全衛生研究
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コンベヤを対象とした労働災害分析
—労働損失日数の活用によるリスクの定量的評価—
梅崎 重夫濱島 京子清水 尚憲板垣 晴彦
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2012 年 5 巻 1 号 p. 33-44

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抄録
コンベヤに起因する労働災害は死亡災害で年間14件,休業4日以上の災害で年間1,216件と多発しているが,その実態はほとんど解明されていない.そこで,死亡,障害,及び休業4日以上の各災害を対象に,どのような業種,機種,及び作業でリスクが高いかを定量的に評価する手法を検討した.具体的には,従来行われている労働災害の発生件数を利用した評価手法に代えて,労働災害の発生件数(件/年)を危害の発生確率,労働損失日数(日/件)を危害のひどさに対応させて,両者の積である全労働損失日数(日/年)をリスクの定量的評価指標とする手法を考案し,分析を実施した.その結果,業種ごとのリスクは,(1)清掃・と畜業,(2)窯業土石製品製造業,(3)鉱業,(4)食料品製造業,(5)木材・木製品製造業の順に高く,これらだけで全労働損失日数の6割以上を占めていた.また,機種ごとのリスクは,(1)ベルトコンベヤ,(2)スクリューコンベヤ,(3)ローラコンベヤ,(4)チェーンコンベヤ,(5)バケットコンベヤの順に高く,ベルトコンベヤだけで全労働損失日数の7割以上を占めていた.さらに,作業ごとのリスクは,(1)異物などの除去,(2)清掃,(3)保守・点検・修理の順に高く,これらだけで全労働損失日数の5割以上を占めていた.今後は,以上の検討で得られたリスクの高い業種,機種,及び作業を重点に,機械安全国際規格に基づく具体的な保護方策の提案を行う予定でいる.
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© 2012 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
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