労働安全衛生研究
Online ISSN : 1883-678X
Print ISSN : 1882-6822
ISSN-L : 1882-6822
短報
粉体の空気輸送中の貯蔵槽での静電気放電による電圧の測定
冨田 一
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 6 巻 1 号 p. 15-20

詳細
抄録

静電気放電による粉じん爆発災害を予防する対策の一環として,貯蔵槽のような金属容器の内部で発生する静電気放電を検出するため,静電気放電が発生する時にループアンテナに誘導される電圧を主たる検出信号とする実験を行った.実規模の粉体空気輸送装置を用いて,ループアンテナに誘導される電圧と貯蔵槽の電圧を測定した結果,伝導性の電磁ノイズが存在する電磁環境下においても,静電気放電に伴う誘導電圧を検出可能なことが確認された.誘導電圧のレベルは突然に大きくなっており,バルク表面放電のように着火性の強い静電気放電の予兆現象を捉えることは現状では不可能であった.ただし,着火性静電気放電と推定される誘導電圧を検出したときに,除電器を稼働させて帯電粉体を電気的に中和するなど適切な帯電防止策を講じれば,静電気放電に起因する爆発災害の発生確率を低減することは可能であることから,誘導電圧の常時モニターは静電気災害の予防に役立つと考えられる.

著者関連情報
© 2013 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top