抄録
流動層は下から空気の整流を送り,粉体(原料)を流動状態で乾燥・造粒・コーティングする装置であり,様々な生産工程に適用されている.しかし,流動層の上部(フリーボード領域)では,帯電した浮遊微粉体によって静電界が強くなり,静電気危険性が生じることがある.本研究では,実験用流動層を試作し,流動層の上部(フリーボード領域)における浮遊帯電微粉体から発生する静電界を調べた.粉体試料はポリ塩化ビニル,メチルメタアクリレートブタジエンスチレン,ポリアミド11,セルロースの4種類を用いた.流動層のフリーボード領域での浮遊粉体からの静電界は,粉体の種類,粉体に含まれる微粉体量,付着性などに大きく依存することが示唆される結果を得た.特に,今回の実験で使用した粉体試料の中で,メチルメタアクリレートブタジエンスチレン,ポリアミド11,セルロースは着火性静電気放電が発生する可能性が高く,それらを使用する現場においては,静電気危険性を評価および管理する必要がある.