論文ID: JOSH-2018-0001-GE
土砂崩壊・落盤による労働災害は斜面掘削工事中によるものが半数を占め,労働安全行政における重要なテーマである.土砂崩壊災害の中でも,岩盤斜面は物性,地質,地質構造が多種多様できわめて複雑な地山を形成するため,リスクの把握が難しく災害事例も多い.そこで本研究では,岩盤斜面における掘削工事中のリスクについて,災害事例の一例を示すことでハザードの特定を行い,リスク低減措置についてまとめた.災害事例から,斜面高さ,斜面勾配,地下水,層境界といった特に着目すべきハザードの因子が確認され,これに対処するプロセスとして地盤調査,調査に基づいた設計,点検,情報化施工,無人化施工が挙げられることを示した.