労働安全衛生研究
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有限要素解析を利用した人工前腕骨の曲げ強度評価の検討
山口 篤志 岡部 康平池田 博康
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論文ID: JOSH-2019-0002-GE

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抄録

1970年に高齢者の人口は総人口の7%を超えて高齢化社会に突入し,その後,高齢者支援の問題が浮き彫りとなっている.現在では,それら問題への対策の一つとして,介護ロボットや生活支援ロボットをはじめとする介護機器の開発が注目されている.これら介護機器は,介護者の労働作業のアシストや,被介護者や高齢者を抱え上げるだけの出力が要求される.一方で,介護機器の分野においては,介護現場における動作要求仕様を十分に満足する安全技術は未だ確立されていないのが現状である.安全技術の確立のためには,人骨の耐荷重を明らかにする必要があるが,倫理上および個人情報保護の観点から,人骨の代替として人工骨の利用が検討されている.人体組織の物理特性を模した生態材料を使用した人工骨の開発は進められているが,その強度評価試験は確立されていないため,人工骨の再現性や妥当性を確認することができない.そこで本稿では,人工骨の曲げ強度評価試験を検討することを目的に,実験的に得た人工骨の曲げ強度と有限要素解析によって得た人工骨の曲げ強度の比較を行い,人工骨の強度評価に対する有限要素解析の有効性を検討するとともに,有限要素解析を利用して橈骨および尺骨を対象に複数の負荷の向きに対する曲げ強度を示している.その他,海綿骨が人工骨(または人骨)の曲げ強度に及ぼす影響について検討し,その影響が小さいことを示している.

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© 2019 独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
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