論文ID: JOSH-2020-0001-GE
電解質・有機化合物を含む汗の模擬生体溶液を調製し,模擬生体溶液中の金属濃度を測定することにより,金属化合物の経皮ばく露の評価を行う方法の開発を試みた.被験物質としては,マンガン化合物を選択し,18種類の電解質・有機化合物を含む模擬汗を試料マトリックスとした.今回模擬汗に使用した物質とマンガンとの間には分光干渉をはじめとした干渉が少なく,ICP-AESでは模擬汗を無希釈で測定可能であった.一方,ICP-MS では塩化ナトリウム由来の塩化物イオン等の影響がみられ, 塩化ナトリウム濃度が300 µg/L以下となる5倍以上の希釈が必要であった.これらの結果は,金属化合物の経皮ばく露評価にとって重要な情報と考える.