論文ID: JOSH-2023-0015-GE
金属は,過剰に摂取することでヒトの健康に影響を及ぼすことはよく知られており,化学形態や溶解性により体内への取り込みや毒性が大きく変化する.クロムやニッケルは,水溶性・非水溶性により有害性が異なるが,このような粒子が体内に取り込まれた場合の溶解性や,有害性については不明な点が多い.そこで,本研究では大気環境分野において粒子の水溶性・非水溶性成分の組成や混合状態を個別粒子単位で調べる水透析法を,労働衛生分野に応用する方法について検討した.捕集材としてポリカーボネートメンブレンフィルター(PCフィルター)を使用し,走査型電子顕微鏡(SEM)による水透析法の実験条件について標準粒子を用いて検討した.導電性処理,水透析による粒子流出,コーティングの膜厚,親水化処理の4点について検討した結果,粒子捕集前に膜厚約5 nm,粒子捕集後に膜厚約2 nmでPCフィルターにカーボンコーティングを行い,水透析前のSEM観察後に親水化処理を行ってから水透析を約2時間行い,その後乾燥させた試料の同一視野を再度SEM観察するという方法が最も水透析に適していることが示唆された.