2020 年 40 巻 2 号 p. 201-205
症例は17歳,男性.2年前から筋力トレーニング部に所属し,当院初診1ヵ月前からダンベルカール時に左前腕尺側中央部に疼痛を自覚していた.当院初診4日前に友人と腕相撲をしていた際に痛みが増悪し,当院受診となった.単純X線像では尺骨骨幹部中央に骨皮質の肥厚を伴った斜骨折を認めた.MRIでは,骨折部の近位・遠位に骨髄浮腫を認めた.病歴と画像所見から尺骨骨幹部疲労骨折が疑われ,骨折観血的手術を施行した.術後3ヵ月でトレーニングを許可し,現在も問題なくトレーニングを続けている.本症例はダンベルの荷重負荷と深指屈筋・回内筋群による剪断力により解剖学的脆弱部である尺骨骨幹部に応力が集中し,疲労骨折を生じたと考えられた.