2022 年 42 巻 2 号 p. 61-67
スキー外傷は下肢に多いことが知られているが,その内容は経年的に変化している.ビンディングの解放機構などのセーフティーデバイスは足関節の捻挫や骨折を激減させたが,その機能には限界があり,重度の膝関節外傷は防ぎきれない.そのため近年では膝関節外傷が全体の約30%と最多となっている.膝関節外傷の予防のためには,スキーヤー自身が外傷の発生機序を理解し,受傷につながるシチュエーションに陥らない滑走技術,さらに受傷肢位に入らないように踏みとどまるための体幹・下肢の使い方を習得する神経筋制御が重要である.本稿では,スキー外傷の傾向や受傷機転に関する詳細な研究を紹介し,残された課題と今後の対策について概説する.