2023 年 43 巻 2 号 p. 76-81
本研究は小中学生のショートトラックスピードスケート選手を対象に①異なる練習環境での膝痛発症頻度の比較,②異なる滑走擬似姿勢と膝痛発症率,③異なる滑走擬似姿勢間での下肢各肢位の相違,について調査した.その結果①陸上トレーニングでは氷上よりも膝痛発症率が高い,②膝屈曲モーメントが小さい滑走擬似姿勢では疼痛発生率が低くなる,③膝痛発生が低い滑走擬似姿勢では,膝関節屈曲が浅く,股関節屈曲が深い肢位であることが明らかになった.陸上トレーニングでの「低い滑走姿勢」の強調は膝痛を招きやすいため,特に膝屈曲モーメントを抑制し,股関節伸展モーメントを発揮しやすい滑走擬似姿勢を推奨すべきである.