抄録
脳卒中発症後1ヵ月で麻痺側手指の随意伸展が不可能な場合,上肢の機能予後は悪いと報告されている.今回我々は,脳卒中発症後7週の時点で手指の随意伸展が見られない重度の上肢機能障害を呈し,予後不良と予測された症例に対してロボット療法を実施した.さらに上肢機能の改善後,麻痺手の機能を実生活に反映させるために,Constraint-induced movement therapyにおけるTransfer Packageの簡易版を実施した.結果,上肢機能は改善し,実生活で麻痺手が使用可能となった.上記から,重度の上肢機能障害に対してロボット療法を用いた複合療法は,一手段となる可能性がある.