抄録
本研究の目的は,急性期脳卒中片麻痺患者の日常生活における麻痺側上肢の使用頻度に影響を及ぼす要因について,基本特性や身体機能,麻痺側上肢の使用方法に対する理解度の観点から,明らかにすることである.対象は発症から1週間以内の急性期脳卒中患者56名とした.多変量ロジスティック回帰分析の結果,麻痺側上肢の日常生活における使用頻度には,上肢麻痺の程度と理解度が影響することが明らかになった.この結果から,急性期の作業療法では,麻痺側上肢の機能改善を図ることに加え,麻痺側上肢の使用方法に対する理解度を評価し,日常生活での使用を促す介入が必要であると考えられた.