作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
実践報告
左半球損傷後のコミュニケーション障害に対する視覚探索に着目した介入と視線分析を用いた検討
─重複した高次脳機能障害を呈した重度失語症の事例─
河野 正志寺田 萌大松 聡子富永 孝紀村田 高穂
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2019 年 38 巻 6 号 p. 727-735

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抄録

重度失語症を呈した左半球損傷患者に対し,視覚探索訓練を実施した結果,コミュニケーション能力の向上が観察され,その評価として,画像視認中の視線分析を用いて検討したので報告する.発症3ヵ月後,コミュニケーション場面では,状況理解に必要な部分へ視線が向かず,非言語情報の理解の低下を認めた.視線分析では,視認中の視線の動きは乏しく,注視点は1ヵ所に停留する傾向を示した.視覚探索訓練を実施した結果,視線分析やコミュニケーション場面において視線の動きが増え,非言語情報の理解・表出の向上が観察された.視覚探索訓練により,非言語情報の入力過程に関わる視覚性注意の改善が寄与した可能性が考えられた.

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© 2019 一般社団法人日本作業療法士協会
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