作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
実践報告
聴覚失認を呈した一症例のコミュニケーション改善に向けた視覚性注意機能訓練と視覚的代償訓練の効果
清水 賢二酒井 浩木村 匡男田後 裕之髙橋 守正
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2020 年 39 巻 4 号 p. 495-502

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抄録

要旨:聴覚失認とは,聴覚による言語や環境音の認知が困難になる状態であり,横側頭回や聴放線の損傷によって生じるとされている.今回,聴覚失認を呈した60歳代の症例を経験した.もともと社交的な本症例であったが,聞き取りの困難さから周囲との交流を避けるようになっていった.作業療法において読話を用いた視覚的代償戦略を用いることで,聴覚失認の症状自体は変化を得られないなかでもコミュニケーションの困難さを克服しだし,周囲との交流を取り戻し始めた.コミュニケーションの障害を言語機能障害ととらえず,生活障害としてとらえて,作業療法士も積極的に介入していく必要がある.

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© 2020 一般社団法人日本作業療法士協会
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