抄録
要旨:今回,我々は仕事中の挫傷事故により,Spaghetti wristを呈した症例に対して,術後早期から段階的なスプリント療法と独立屈曲運動を行った.また長期にわたって知覚再教育,機能訓練を実践した.術後19ヵ月まで把持能力と正中神経領域の感覚機能の改善を認めたが,尺骨神経領域の改善は乏しかった.Spaghetti wrist症例では,血管や神経,腱断裂が多数あるため縫合腱の緊張度を確認し,単独指の独立運動は術後4週以降に開始することが望ましいが,神経や動脈損傷の程度を見極めて実践することが重要である.