作業療法
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第54回日本作業療法学会基調講演〔日本語対訳付〕
混合研究法の基礎
─作業療法士のための研究例─
マイク・D・ フェターズ
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2021 年 40 巻 2 号 p. 139-157

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抄録

序論:混合研究法を用いる研究者が世界で増えている中,作業療法研究者も,この調査アプローチの本質と力を知る必要がある.本稿の目的は:1)質的,量的,および混合研究法アプローチの基本的特性を確認し,2)混合研究法デザインの3つの基本型について特徴を説明する作業療法分野の研究例を用いて各デザインを示し,3)それら混合研究法を用いた作業療法研究に共通する統合の特性をレビューすることである.結果:ここで取り上げた3つの作業療法の研究例では,統合の特性が多く見られる.まず,タイトルに,混合研究法のデザイン手続きを用いた研究であることが示されている.また,統合の目的を示し,両タイプのデータ収集を意図したことを明示あるいは暗示している.各研究には,それぞれ特定の混合研究法デザインの名称が使われている.これらの論文には,主にデータの連結,積み上げ,マッチング,比較といった,データ収集段階における統合の意図の好例が見られる.さらに,結合,データ変換,およびジョイント・ディスプレイの作成といった,分析作業における,統合の意図とデザイン手続きも取り上げられている.考察:ここで取り上げた研究例は,作業療法研究者が混合研究法における最新の統合戦略の数々をどのように用いているかを示している.本レビューは,作業療法研究者が,他の研究者による混合研究法を用いた作業療法研究を解釈する上で,また,自身の研究で混合研究法を活用する上での参考となるであろう.

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© 2021 一般社団法人日本作業療法士協会
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