抄録
本研究では,短時間の非利き手箸操作運動学習中の脳活動変化を明らかにすることを目的とした.対象は右利き健常成人34名とした.左右手の箸操作練習前後の運動技能評価と,練習中の左右半球の前頭極(FP),背外側前頭前野(DLPFC),前頭眼野(FEF),運動前野(PMC),一次運動野(M1)のΔOxy-Hb測定を行った.結果は,左右手とも練習後に運動技能が向上した.左手練習中の脳活動は,左右FP,DLPFC,FEF,PMCが賦活し,経時的には左右FP,左DLPFC活動が有意に減少した.運動学習初期の試行錯誤過程では,感覚情報を用いた運動制御や認知活動が行われることが示唆された.