抄録
軽度の運動麻痺と感覚障害に加え,左半側空間無視や麻痺手の使用低下,自己認識障害を認めた右前頭葉の脳梗塞患者に対し,上肢機能練習に併せ,CI療法のTransfer packageを実施した.その結果Motor Activity LogのAmount of Use,Quality of Movementともに臨床的に意味のある最小変化量を超える改善が見られた.また,自己認識障害を評価するAwareness Questionnaireにおいても良好な得点が得られた.本対象者は,Transfer packageが自己認識機能を促進させ,実生活における麻痺手の不使用に対する認識を改善した可能性がある.