作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
原著論文
後天性脳損傷児の通常学級への適応プロセスに関する保護者の経験の質的解明
─複線径路等至性アプローチを用いて─
草野 佑介寺岡 睦京極 真
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2022 年 41 巻 1 号 p. 41-50

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抄録

後天性脳損傷児の学校への適応プロセスにおける共通性と多様性を解明することを目的に,質的研究法である複線径路等至性アプローチを用いて5名の保護者の経験を分析した.その結果,後天性脳損傷児の就学(復学)プロセスにおける【適応をめぐる葛藤】という新たな概念および3つの分岐点が生成された.学校への適応は通過点としての目標である.適応という概念が葛藤を内包したゆらぎを帯びた状態であることを前提に,将来に待ち受けているライフステージの変化を考慮した,対象児と保護者の地域社会生活への参加における問題解決を長期的に支援することが作業療法士の役割として重要であると考えられた.

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© 2022 一般社団法人日本作業療法士協会
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