抄録
注意機能をスクリーニングし,日常生活活動能力の予後予測を含めた臨床的推論を簡易的に行うため,注意障害の病態に基づいて段階づけた課題を設定した.本研究は,設定した課題達成度の変化を観察し,既存の評価との関連性を検証した.対象は発症2ヵ月以内に入院した脳卒中患者14名とした.結果,対象者の課題達成度および評価得点は有意に向上し,課題達成度と神経心理学的検査および日常生活動作能力には有意な相関が認められた.本研究で設定した課題の達成段階を目安にして,注意機能の改善プロセスを概観し,日常生活活動の達成度を推察できる可能性が示唆され,対象者の注意機能に合わせた課題や場面設定をすることが可能と考えられた.