抄録
精神科療養病棟において,顕著に陽性症状が残存し,現実的なコミュニケーションをとることが難しく,作業活動に注意を向けることができなかった60歳代女性の慢性期統合失調症患者に関わる機会を得た.作業療法介入として,6ヵ月間の園芸活動を提供し,毎日の水やり作業と週1回の植物成長記録ポスター作成作業を実施した.その結果,事例は作業療法士との現実的なコミュニケーションをとることができ,作業活動に取り組むことができるようになった.植物の成長を共有して関わることで現実的なコミュニケーションを促進し,園芸に関連した創作活動を取り入れ,動機を高められるよう設定したことが,作業活動への注意を高めたと考えられた.