抄録
本研究の目的は,人工股関節全置換術を施行した変形性股関節症患者において,術後1ヵ月における浴槽での入浴実施状況とその関連要因を調査することである.術後1ヵ月までフォローアップできた者は89例(女性74例,年齢67.2±9.8歳)で,浴槽での入浴を実施していた者は47例(52.8%)であった.術後1ヵ月において,浴槽での入浴を実施していた者は実施していなかった者と比較し,術後2週での転倒自己効力感が有意に高値で,術後1ヵ月で浴槽内チェアの使用割合が有意に高かった.本研究の結果から,術後1ヵ月における浴槽での入浴の実施には,入院期間中に自己効力感を高めるための作業療法介入の必要性が示唆された.