2023 年 42 巻 1 号 p. 26-33
本研究の目的は終末期がん患者の在宅復帰の予測因子を検討し,リハの臨床で役立つ視点を提示することである.リハを実施した終末期がん患者102名を対象とし,基本属性,臨床データ,FIM,PPIを診療録より収集した.また,ロジスティック回帰分析で在宅復帰の因子を求め,カットオフ値を算出した.結果,PPIと主介護者以外の同居家族が因子として抽出され,PPIのカットオフ値は4であった.終末期がん患者の在宅復帰支援において,生命予後を踏まえてADLを予測し,リハ目標を設定する必要性を裏づける結果であった.また,PPIのカットオフ値と家族構成は,退院支援の方針を迅速に検討する際,有益な情報になり得ると考えた.