2023 年 42 巻 5 号 p. 553-563
目的:ME/CFS者の作業選択・継続の過程とその要因を質的研究により明らかにすること.対象:A氏,40代,女性.大学生時にME/CFS様の症状が出現し,10年後ME/CFSと診断.方法:A氏へのインタビュー結果からTEM図を作成し,TEM の概念とA氏の経験を適合させ,分析した.結果:A氏の仕事選択と継続の状況およびその要因について,A氏の主観や社会的状況から明らかになった.考察:身体状況と仕事内容の調整の不在は作業の継続の阻害や症状の悪化のリスクとなる.障害や病の存在を肯定し,それを中心に据えて社会の変容にベクトルを向けられる環境は興味ある作業の選択・継続を促進する可能性がある.