作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
実践報告
視空間認知障害を合併した脳卒中片麻痺患者に対する応用行動分析学に基づいた上衣着衣練習の効果
─単一事例研究─
小澤 弘幸渡邊 愛記石井 杏樹川上 祥小林 健太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 42 巻 5 号 p. 663-669

詳細
抄録

視空間認知障害を呈した左片麻痺症例に対し,単一事例実験研究による応用行動分析学に基づいた上衣の着衣練習の有効性を検証した.着衣動作を6つの工程に分割し,それぞれに対して介助量によって点数付けをし,その得点と着衣動作の遂行時間を計測した.ベースライン期では試行錯誤による着衣練習,介入期では時間遅延法と視覚的プロンプト・フェイディング法による着衣練習を行った.その結果,介入期ではベースライン期に比べて着衣の遂行時間と得点が有意に改善し,その後も着衣動作が継続的に可能となった.これらより,応用行動分析学に基づいた着衣練習は,視空間認知障害を呈した片麻痺患者に対する有効な訓練方法であると示唆された.

著者関連情報
© 2023 一般社団法人日本作業療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top