1994 年 29 巻 p. 337-342
ジャワにおける歴史的な都市の形態は、王宮、モスク、市場、広場という4つの区域によって特徴づけらていたが、封建的権力の力の低下や都市における商業主義の展開などにともなって変化をとげてきた。しかし、それらは依然としてジャワの歴史的な都市の特徴を示すものであり、その存在は歴史的な都市の文脈を保存していく上で重要である。本論文は、インドネシア、ジャワ島における8つの歴史的都市を対象とし、特に広場に着目し、その変化の実態とそれをもたらした要因を分析し、インドネシアにおける歴史的都市の特徴を保存するための糸口を見出すことを目的として行なったものである。保存されている広場においては、共通して宗教生活がともない、それに加えて行政的、文化的、商業的な関心がさまざまな彩りで広場の存在を支えていることが明らかにされた。