抄録
本研究では、木造密集市街地での好適整備の進みにくい地域を対象に、民間による建物更新と住宅供給、居住動向の実態を地区単位で詳細に分析し、両者の関係を明らかにすることを目的とする。その結果以下のことが明らかになった。1)建て替えは基盤の改善とは無関係に起きており、木造密集市街地が再生産されている。特に未利用地に狭小な戸建て住宅が充填されている。2)地域内で住み替えを行なっている居住者のうち、同じ町内で住み替えが半数以上を占めている。3)家族形成との関係で住み替えが起こる時期と、住み替え善後の住宅タイプの関係を分析すると、8つのタイプが抽出された。4)同じタイプの住宅供給でも住み替えの役割は家族形成の段階によって異なる。