抄録
主に列状の緑地と島状の緑地、周辺の土地利用に着目し、我が国の都市域において生態的ネットワークを構築する手法を確立するための基礎的な研究として、鳥類の分布との関係を明らかにすることを試みた。研究対象地は、兵庫県西宮市西部とした。2002年12月から 2003年2月の間に、夙川沿いの列状緑地、甲陽園一帯の島状緑地、北山公園において、ライントランセクト法による鳥類調査を行った。鳥類の確認地点を中心として半径50mのバッファーを発生させ、その種ごとの土地利用比率を分析した。その結果、主に樹林を利用する種にとっては、50%以上が樹林で占められていることが必要であることがわかった。また、いくつかの種によっては、低木層、草本層の存在が重要であることがわかった。最後に、都市域において鳥類を対象とした生態的ネットワークを構築する際の要点をまとめた。