2003 年 38.3 巻 p. 793-798
本研究では、滋賀県朽木村針畑地域を事例に、GISを用いて伝統的な土地利用と林相の変化を定量的に捉えるとともに、地域資源の伝統的な連関性の実態と、その崩壊と、その再構築の方向性について明らかにすることを目的とした。伝統的な土地利用と林相の変遷を、天然生と若令の広葉樹林の減少と、壮齢の広葉樹林とスギ林の拡大などについて、定量的に捉えることができた。地域資源を抽出し、伝統的な土地利用に即した資源連関を8つの空間分類別に表すことができた。1960年代以降の地域環境の変遷を、4タイプの典型的な資源連関の断絶より明らかにすることができた。断絶された資源連関の再構築の有力な手法として、木質バイオマスの活用と牛の導入について提案した。