2003 年 38.3 巻 p. 919-924
本稿は、ルシオ・コスタのコンペ当選案にみるブラジリアの都市計画のコンセプトを明らかにするために、近代都市計画理論がいかに当選案に使われているかの検証の意味も込めて、当選案の解説内容とル・コルビュジェの『ユルバニズム』との照合をおこなったものである。その結果、当選案の解説から 191のキーセンテンスが抽出され、六つのカテゴリーに分けられ、≪基礎的な考え方≫の88%、≪全体の骨格≫の92%、≪機能構成≫の82%、≪技術・方式≫の56%、≪デザイン≫の87%、≪その他≫の89%が『ユルバニズム』と符合した。さらに、その符合する程度を三段階にわけると、≪基礎的な考え方≫では「全く同一」が最も多くなった。よって、ブラジリアの都市計画には『ユルバニズム』に示された都市計画の原理が随所にみられることが明らかとなった。