抄録
本研究では施設とそのアクセスとしての道路網を一体として考えることで、施設閉鎖・道路閉塞が都市に与える損失を評価する。格子状の都市を想定し、施設閉鎖・道路閉塞による損失の大きさを最寄り施設までの移動距離の増分という共通の指標で理論的に把握する。まず、 1箇所の施設が閉鎖されたときと道路網上の 1箇所が閉塞したときの距離の増分を比較し、道路閉塞が都市に及ぼす損失は施設閉鎖による損失の高々 25%であることを示す。また、複数の施設や道路が閉鎖される場合には、閉鎖施設や閉塞地点が近いときの方が遠く離れているときよりも大きな損失が生じるという相乗効果が生まれることを確認する。さらに、施設閉鎖と道路閉塞が同時に発生した場合についても距離の増分を求め、閉鎖施設の近くの道路が閉塞した場合に損失が大きくなることを明らかにする。