2005 年 40.3 巻 p. 205-210
本研究は、阪神大震災以後のまちづくり政策や都市政策における計画理論について、「地域力」と「ソーシャル・キャピタル」について概念や規範理論の視点から論述したものである。まず第一に、2つの概念、規範理論の変遷などについて理論整理を行うことで、これらの概念や理論の枠組みについて述べた。第二に4つの都市政策事例を比較検討し、その特徴を把握、考察した。以上から次の2点を結論として提示した。第一に、「地域力」と「ソーシャル・キャピタル」の規範理論の概念は、正確には都市政策に反映されていない事例がみられ、それぞれの政策においてオリジナル性をもった援用がなされている現状にある。 第二に、これらの概念は、規範理論の変遷から未だ理論的にも未確定な要素が多いことが窺え、言葉だけが流行りの理念として政策に援用されるのではなく、地道な理論研究と実践の現場においてさらに実証検証される必要がある。